日本が誇る食文化のひとつ「おにぎり」は、お米、塩、具、海苔という4構成を基本にしながら、その可能性は無限大です。
自宅でのご飯に良し、お弁当として持ち歩くも良し。そんなおにぎりの魅力を、一般社団法人おにぎり協会の代表理事、中村祐介さんに伺いました。
弥生時代から食されていたおにぎり豆知識
「おにぎり」「おむすび」皆さんはどちらで呼んでいますか? 形や地域での違いなど諸説ありますが、実はどれも俗説にすぎないそう。数々の文献を検証した結果、“明確な違いはなし!”と結論が出たそうです。さて、日本ではいつ頃からおにぎりを食べていたのでしょうか?
史実によると弥生時代中期〜後期にかけてすでにおにぎりが食べられており、1987年11月には、もち米を蒸して固めて焼かれていた「おにぎり状のチマキ炭化米塊(=おにぎりの化石)」が石川県鹿西町(現:中能登町)で発見されています。
また、明治時代には、日本鉄道 宇都宮駅構内で地元旅館が日本で初めて「駅弁」を販売。黒ごまをまぶした梅干入おにぎり2個とたくあん2枚を竹の皮で包んだものだったそうです。
「おむすびの日」は、「ごはんを食べよう国民運動推進協議会」が2000年に制定。ごはんのおむすびだけでなく、人と人との心を結ぶ「おむすび」の日を作ろうと全国公募し、1995年に発生した阪神淡路大震災でボランティアによるおむすびの炊き出しが人々を大いに助けたことから、いつまでもこの善意を忘れないために大震災の起きた1月17日をその日付としました。
日本全国、“変わり種おにぎり”で旅行気分を満喫
郷土料理があるように、全国にはその土地特有の個性豊かなおにぎりがあります。今回はその中から4つをピックアップしてみました。おにぎりを握って、食卓から旅行気分を味わってくださいね。
豊作を祈って食べられた京都府の「苗めし」
陰干ししてしんなりした稲の苗でおにぎりを包んだことから、田植えの際に黄金色の稲穂が実るようにという願いを込めてつくられたおにぎりです。
■ 材料(2人分)
- 米 2/3合
- 小豆 20g
- 塩 2つまみ
- きな粉 適量
■ 作り方
- 小豆と塩を混ぜてご飯を炊く。
- 俵型に握る。
- まわりにたっぷりときな粉をまぶす。
鮮やかな色が美しい静岡県の「くちなしおにぎり」
江戸時代、東海道の立場(休憩所)の名物として販売されていた「瀬戸の染飯」が起源とされているおにぎり。くちなしは古くから疲労回復の効果が高いとされていたそうです。
■ 材料(2人分)
- 米 2/3合
- くちなし 1 1/2個
- 酒 小さじ2
- 塩 小さじ1/2
■ 作り方
- くちなしを半分に割って煮出し、キッチンペーパーなどで濾す。
- 塩、酒、くちなしの煮汁でご飯を炊く。
- 三角形に握って完成。
武将も愛した新潟県の「けんさ焼きおにぎり」
上杉謙信が諸国遠征の際に、兵糧として剣の先におにぎりを刺し、焼いて食べたことが由来といわれています。軽食や夜食として、今でも手軽に楽しまれている味です。
■ 材料(2人分)
- ご飯 220g
- おろし生姜 小さじ1
- 味噌 大さじ1 1/2
- 砂糖 大さじ1
■ 作り方
- ご飯を円盤状に握り、弱火で熱したフライパンで両面を軽く焼く。
- おろし生姜と味噌、砂糖を混ぜ合わせたものをおにぎりの両面に塗る。
- 両面を軽く炙ったら出来上がり。
爽やかな香りも魅力的な徳島県の「すだちおにぎり」
徳島県を代表する香酸柑橘のひとつである、すだちを使った爽やかなおにぎり。すだちは、古くは万葉の時代から食欲増進に役立つと重宝されていたそうです。
■ 材料(2人分)
- ご飯 200g
- すだち 1個
- 塩鮭 2/3切れ
- パセリみじん切り 大さじ3
- 炒りごま 小さじ2
■ 作り方
- ご飯にほぐした塩鮭と炒りごまを混ぜ、球状に握る。
- すだちの皮を擦り、パセリと混ぜたものをおにぎりのまわりにまぶす。
- 仕上げにすだちの実を絞っていただく。
基本の塩むすびは「水塩」でもっとおいしくなる
最後にもうひとつ豆知識をご紹介しましょう。おにぎりの基本となる、米と塩だけを使うシンプルな塩むすびは、ホカホカご飯を握って塩を振りかけるだけでもおいしくできますが、「水塩」という技法を試してみるのもおすすめです。
水50mlに対し、塩10gを混ぜて作った「水塩」を手水の代わりに使って握ると、塩味がまんべんなくついた塩むすびの出来上がりです。しっかり手洗いし、やけどに注意しながらやってみてくださいね。
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